アフリカ・ザンジバルの革命家、島岡強さんにお会いして。

先日の日曜日、ふと思い立ってテレビをつけたら、「グレートジャパニーズ」という番組が放送されていた。海外で活躍する日本人の姿を紹介する番組のようだ。

で、しばらく見ていたらエジプトを拠点にプロのベリーダンサーとして生きる木村カスミさんの話があって、その後、タンザニアザンジバルで「革命家」として活躍する島岡強さんの紹介が続けてされた。

番組によると、島岡さんは奥様とこの地にもう20年以上住んでいらっしゃって、タンザニアの経済発展に尽力されている。

具体的には、船を何隻も購入し、乗組員を雇って漁業を軌道に乗せたり、貿易の仕事(現地で作られたコーヒーの販売など)や、このところ日本でも人気が高まっているティンガ・ティンガの絵を日本に販売するお仕事(画商)もされている。

つまり、現地の人たちに仕事を与え、彼らが自活できるように、ひいてはアフリカの国々が援助に頼らず自分たちで生きていけるように道を拓くのが、島岡さんのおっしゃる「革命」という意味らしい。

こうした活動を、島岡さんはゼロから始めたのだった。

番組内容についてはまだまだ書きたいことが山ほどあるのだけれど、それは次回に譲ることにして、今日はその島岡さんにお会いした時のことを書いてみたいと思う。

そう、ともかくこの番組を見終わって大変な衝撃を受けた私は、早速島岡さんのことをネットで調べてみた。

すると、現在横浜で「ティンガティンガ原画展2011」という催しが開催されており、なんと島岡さん夫妻も来日されている様子。

これは「天からのチャンス!」と思い、早速きのう横浜まで出掛けていったのだった。



印象に残った一枚。タンザニアの歯医者はコワイところらしい(笑)。


展覧会ではまず、ご夫妻と一緒に来日していた画家のムスターファさんとしばらく話をした。

才能豊かな絵描きさんのようで、実際に話してみてもナイスガイだった。

奥様の島岡由美子さんは、「我が志、アフリカにあり」という本を2003年に出版されている。

原画展でも積極的に接客をされていて、実際にお話ししてみると、というか遠くから見ても、まるで女神のような雰囲気の素敵な方だった。

一方の島岡強さんは、もう一見して「闘う男!」という雰囲気を漂わせており、それまでの険しい人生が表情からうかがい知れるよう(実際の島岡さんご夫妻は、コチラから見ることができます)。

突然押しかけたにも関わらず、島岡さんは私のために時間を取って下さり、膝詰めで話をした。

自分もいま会社の運営をしていること、人生の最終目標をアフリカの地で生きることに置いていること、悩んだり迷ったときはどうすべきかなど、とめどなく話したのだけど、島岡さんは私の話を黙って聞いて下さった。

印象に残ったのは、島岡さん自身、これまでザンジバルで手がけてきた仕事は基本的にどれも「依頼されたことがきっかけ」であり、漁業にしても画商にしても相談を持ち込まれて、「何とかしてあげたい」という気持ちからその仕事に関わっていったということ。


私「そうすると、人から頼み事をされるような『人徳』『人間的魅力』が大事ということですよね?」

島岡さん「そうだね。でも、それ以上に大事なのは『きっちり形にすること』」


そう、頼まれて引き受けたからには必ず成功させる。この実行力が必須だという話だった。

また、


私「これらのことを全部自分でされたのですか? 色んなことを一度に動かすのは大変な気がしますが。。。」

島岡さん「もちろん自分でやったよ。やったから今に至るわけで。知識や免許もないけど、そんなことは実際にやってみればなんとかなる」。

私「先ほどの『必ず形にする』話といい、島岡さんはスーパーマンみたいですね」。

島岡さん「ある意味スーパーマンじゃなきゃ、アフリカではやっていけないよ」。


そして最後に一番聞きたかった質問をぶつけてみた。


私「島岡さんは、悩んだり迷ったりすることはありませんか? そういう時は人に相談されるのですか?」

島岡さん「う〜ん、天の声を聞くかな。あとは、ともかく現地の人間のことだけ考えている。仕事を与えて彼らをいかに食べさせていくか。そこだけ考えれば自然に答えが見えてくる。他人に相談することはないなぁ」

私「というか、そもそも島岡さんは迷ったりすることってあるんですか?」

島岡さん「あ、そう言われればないかもね(笑)」


 *

個人的には、『きっちり形にすること』という話が特に心に響いた。

人から頼み事をされるような魅力的な人間であり、なおかつそれを形にできること。

これは分野を問わず、ビジネスマンすべてに必要な素養ではあるまいか。



「偶然は偶然でない」。


再び立ち上がって前進できそうなきっかけを掴むとき、私はいつもこの言葉を思い出す。

島岡さんのことをテレビで知り、そしてその二日後に実際にお会いできたことはきっと偶然ではない。

展覧会まであれほど重かった足取りが、会場を後にする頃には軽くなっていた私であった。



テレビで紹介されていたタンザニアのコーヒー。この日お土産として購入。パッケージが美しすぎる!


P.S.原画展はこの後、名古屋、大阪でも開催されるようです。お近くの方は是非!
「ティンガティンガ原画展2011〜第4回名古屋展」